こんにちは、shunsukeです。
今日は以前自身が手掛けてたA様邸のお庭のライトアップについてご紹介したいと思います。
と同時にライトアップとは何なのかについても触れておきます。
ぜひ夜の景色をご覧ください!
屋外ライトアップについて

Lighting Up(ライトアップ)とは
ライトアップとは、夜間に歴史的建造物、日本庭園、橋、タワー、樹木などを投光器や屋外用照明器具機器などを用いて照明することで夜間景観を演出するもの。 照明を当て,昼間とは違った表情、陰影を意識した演出すること。一般には街の活性化の手段として行われることが多い。
Lighting Upに携わってかれこれ約8年。主に日本庭園や神社仏閣などで実施される春(桜)と秋(紅葉)のライトアップのデザインから設置(仮設)をしています。
そんな中、時に個人宅庭のライトアップの常設設計・設置もしています。
今回ご紹介する個人宅は実際に僕が設計し、設置までした案件のお写真です。まずは昼間の景観をご紹介します。
昼間の景観について

こちらのお客様は、素敵なお庭をデザインするガーデンデザイナーさんのお宅。
ガーデンデザイナーさんだけあってお庭も広く、植栽の拘りがあり、とても素敵です。
ちなみに今手前に見えている照明器具は元々あったもので、左側のポストは既製品をこちらでエイジングしました(笑)こんな仕事もしていますので、次回そちらもご紹介します。
デッキ前の風景

デッキ前の庭先に自動灌水装置を使って小川を設置しています。庭に水の流れがあると、更に動きがあって自然を感じられてとても素敵です。

この小川には、たくさんの生き物が存在しています。生き物の存在が、このお庭を更に引き立たせている要因となっています。

このお庭の良い点は、何といっても緑が豊富な点。一般住宅でここまでお庭が広く、緑豊かにしているお宅はあまり見かけません。
今回照明設計においてお客様のご要望はこちら。
- 夜デッキでゆっくりと出来る空間が欲しい
- ずっと眺めていられる明かりが欲しい
- 庭のアプローチに明かりが欲しい
という点でした。
これまで色々と聞く照明に関しての不満は、
- 図面上ではイメージしづらい。
- イメージと実際に出来上がったものが違った。
- 明かりが強すぎる。
など、多くの不満を抱えているお客様が多いように見受けられます。
ですが、僕が心掛けていて実際に行っていることは、
- デザインの段階で、実際に明かりを付けに行く。(そうすることで、イメージと違った、というズレを無くすことができる)
- そのお庭にあった照明器具(小さい器具やワット数が小さい明かり)をご提案する。
- 限りなく存在感を消した設置場所に器具や配線をする。
- 陰影を意識した照明、目に優しく落ち着いた照明設計をする。
などを意識しています。特に実際に設置して明かりを見てもらう。これはほとんど他がやっていない僕ならではの方法です。
では、まず写真で見て頂くのが早いかと思いますので、設置した夜の景観をご覧ください。
夜間の景観について

照明設計していく中で、僕が大事だと思っている点は「物語」です。
今回の「物語」は、
- 「おかえり」と出迎えてくれる木とモルタル造形ミニチュアハウス。
- アプローチで着飾ったものを脱ぐ。
- 部屋着に着替えてデッキで自分だけの時間で寛ぐ。
こんな物語を勝手にイメージしてみました!
自宅前アプローチ照明デザイン


アプローチは全体的に優しいイメージにしてみました。メインを引き立たせるための施策です。全体で強いイメージにしてしまうと、目が疲れてしまい、癒しや落ち着きとは程遠くなってしまうため、アプローチは敢えて優しくしています。
左手前の照明器具は更に小さい器具にし、また小さいワット数のものに変更しています。
※1チップの点光源で影をきれいに出す器具をチョイス。

足元の明かりは、更に小さい器具を木やパーゴラに取り付けています。
明かりに広がりを出す器具をチョイスしています。
※こちらは特注品です。
ちなみに右手前にあるミニチュアハウスは僕らで制作したモルタル造形ミニチュアハウスになります。
デッキ前照明デザイン

こちらはメインどころ、デッキ前のお庭です。小川の流れを意識したずっと見ていても疲れない設計を心掛けました。どれも照明器具の芯(一番強い部分の光)を敢えて外し、優しく光が当たる部分で明かりを演出しています。緑が生き生きとしているのが写真でも伝わっていきますね。
またデッキから見た時にグレア(眩しさ)を全てカットしているため、不快な思いをすることはありません。色んな屋外照明を見てきましたが、グレア(眩しさ)を意識せず設計しているところが多く見受けられます。照明設計ではとても大事な要素の一つです。

上段で、照明器具の芯(一番強い部分の光)を敢えて外し、優しく光が当たる部分で明かりを演出していると話をしました。要するに、左側の小川がやや強い光になっていますが、まさにこれが芯(強い光)が当たっているということです。これはなぜ強くなっているのかというと、小川に光を当てることで、波紋が出来るので敢えて当てています。これでも少しグレアをカットして弱くしています。

こちらはウッドフェンスへ影絵を出した演出です。壁沿いに丁度良い下草があったので、やや遠い個所から明かりを当てています。影があることで、夜間景観に更なる動きと演出を出しています。「影絵」は僕の照明の特徴の一つで欠かせないものとなっています。
それではこれよりどのように施工したのかを写真を使ってご紹介します。
施工方法について
今回お客様と相談し、全てのことをお話しした上での施工方法を取らさせて頂きました。
ケーブル等の処理方法

通常常設の場合、PF管などを使って埋設する作業になりますが、ケーブルのまま、全て土を掘って埋めています。ローボルト(12v)用の器具を使っているので、万が一の時があっても安心です。足で引っかかることはありません。

しっかりと踏み石沿いにケーブルを這わしたり、ここだ、というベストな場所へ考えて配線しています。

100V用ケーブルは、柔軟性・加工性に優れてたキャプタイヤを使用しています。
器具設置方法

こちらは特注器具(直径30mm、長さ55mm)。グレア(眩しさ)をカットしているフードと器具の台座はこちらで制作しています。その環境に合わせた部材を制作できるのが特徴でもあります。こちらの設置方法もお客様とお話をして決めています。

パーゴラ部分に取り付けた写真。ケーブルもだらっとしないよう全てきれいに取りつけています。

木に取り付けた際のケーブル処理は、必要最小限に。理由は、あまりたくさん締め付けてしまうと生き物にも良くないのと、木が太くなった際、止めた個所が切れずに残ってしまうとそのまま食い込んでしまからです。生き物のことも考えながら設置しています。

見た目も気になる照明器具。いつも見る視点から死角になる部分を探し、最適な場所に設置するよう心がけています。それはケーブル処理に関しても然りで、死角になる部分で結線をしています。
さいごに

いかがでしたでしょうか。あまり考えていないように見えて、実はたくさんのことを考えて設置している照明。仕事の大小関係なく欠かさず行っています。
こうした細かい処理は大きなところでは難しく、小規模な僕らだからできることかと思います。もし気になる方がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡・ご相談ください。
下記に照明の面白さ・実際にデザインして設置した大田黒公園ライトアップの記事がありますので、そちらも合わせてご覧ください。

このブログでは、自分で経験してきたことを、「知る・学ぶ」をコンセプトに様々なことを皆さんにお届けできたらと考えています。
次回もお楽しみに!
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